世の中には、知られざる“裏の主役”がいる。
けんしろ★
それが、僕が経験した ゴミ収集車の仕事だ。
誰も注目しないけれど、街は彼らなしには回らない。
これは、僕が過ごした「汗と鉄と匂いまみれのインダストリアルロック・ツアー」の記録である。
🎧 今日の1枚:セックス・ピストルズ『Never Mind the Bollocks』
汗と匂いとノイズまみれの日々を思い出すとき、僕の脳内で流れるのはこの1枚だ。
セックス・ピストルズ唯一のアルバム『Never Mind the Bollocks』。
- 「Anarchy in the U.K.」 の爆音リフは、虫と腐敗臭と竹串の痛みをかき消すBGM。
- 「God Save the Queen」 の反骨精神は、ゴミ袋を担ぐたびに「俺だって生きてる!」と叫んでいるようだった。
このアルバムは調和とは無縁。ノイズと混沌と破壊衝動。
でも、それこそが生きる実感をくれる。まさに、ゴミ収集車という仕事の縮図だ。
この記事のBGMにオススメの曲です!
🌞 夏フェスは虫との戦い
夏場のゴミ収集は、まるで地獄の野外フェス。
だけどロックファンの熱気じゃなく、襲ってくるのはハエと小バエの大群だ。
朝日がスポットライトのように照らし、ステージ(ゴミ置き場)は異臭で充満する。
観客ゼロのはずが、虫と臭いはフルハウス。これが夏の“ライブ”だ。
🥢 ゴミ袋は時に凶器
ゴミ袋は予測不能なサプライズを仕込んでくる。
ある日、焼き鳥の竹串が突き出していて、軍手ごと手にぶっ刺さった。
痛みで叫んでもアンコールはない。収集車は待ってくれない。
これが“現場のモッシュピット”。油断すれば誰も守ってくれない。
🏠 ゴミは生活のトラックリスト
ゴミを見ると、その家の人生が透けて見える。
- 酒瓶だらけ → 毎晩ライブ会場状態。
- 子どものおむつが山積み → 子育て真っ最中ツアー。
- そして衝撃だったのは、大人のおもちゃ、お位牌、そしてペットの亡骸…。
「人の生活って、こんなにゴミに出るんだ」と痛感した。
気づけば僕は肉体労働者じゃなく、“人間観察バンド”の一員になっていた。
🏬 百貨店のゴミ置き場はドーム規模
家庭ゴミがライブハウス規模なら、百貨店のゴミ置き場はドーム公演だ。
畳10畳分のスペースに、食品廃棄が山積みになっている。
その光景は圧巻。大規模フェスのステージに立っているような気分になる。
でもアンコールは「もうやめてくれ!」。達成感と虚無感が同居する瞬間だった。
🥐 パン屋の廃棄は朝食ジャムセッション
ある日、パン屋の廃棄がゴミ置き場に山ほど出ていた。
クロワッサン、メロンパン、あんぱん――見た目はまだ十分食べられる。
仲間と分け合って休憩中にかじれば、ちょっとした幸福のジャムセッション。
ゴミの山からでも、思わぬ“ごちそうのメロディ”が流れる瞬間がある。
🌧 雨の日はずぶ濡れライブ
雨の日は最悪だ。
レインコートなんて気休めで、数分で全身びしょ濡れ。
靴の中は池、服は汗と雨とゴミ汁でぐちゃぐちゃ。
三位一体の“スリーピースバンド”状態で、鼻を突くアンプ臭が全身から立ち上る。
🙏 ゴミ収集車で聞いた「ありがとう」
この仕事の救いは、住民からの「ありがとう」だ。
早朝、ゴミを出しにきたおばあさんに「ご苦労さま。助かります」と声をかけられた。
その一言が、ライブのアンコールの拍手みたいに胸に響いた。
体はクタクタでも、「この仕事をやってよかった」と思えた瞬間だ。
もしこれからゴミ収集車の仕事をやってみたい人へ。
僕からのアドバイスはこれだ
- 体力はバンド活動並みに必須:毎日ライブ並みに動く。腰を守れ!
- 装備はプロ仕様で:軍手は二重、防刃タイプがおすすめ。靴は滑りにくいものを。
- 匂いと虫に慣れろ:最初は地獄。でも2週間で“鼻フィルター”が起動する。
- 効率重視で早く帰れる:仕事を早く終えれば即帰宅。成果が直に反映されるのは大きな魅力。
- やりがいは確かにある:住民の「ありがとう」はアンコールの拍手。やった分だけ心に残る。
🎬 エンディング
ゴミ収集車の仕事は、まるでB級ドキュメンタリー映画のようだ。
汗と匂いとトラブルだらけ、だけどそこにしかない笑いとドラマがある。
僕の労働アルバムのTrack 1は、この騒々しいパンクロックだった。
そして次のステージに立つ。
転職アルバムのTrack 2は――タクシードライバー。

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