ゴミ収集車の仕事は、ただの作業じゃない。毎日が即興パンクライブだ。
けんしろ★
匂いにやられ、虫に囲まれ、竹串に刺されながらも、ステージに立ち続ける。
そんなB級ドキュメンタリーを、今日もアンプをフルに鳴らす気持ちで書いく。
この記事のBGMはこの曲がオススメです。
雨の日は意味なしカッパライブ
雨の日は支給されたカッパを着る。
でもそれは「穴の空いたアンプ」みたいに、全く意味をなさない。
びしょ濡れになりながら、ぬかるんだ現場で足を滑らせ、後頭部を強打したこともあった。
しかも雨水を吸った布団や段ボールは、とんでもない重さに化ける。
それを担ぐ瞬間は、まるで地獄のデスメタル・リフ。
焼き鳥竹串の洗礼
ゴミ袋は時に“サプライズ演出”を仕込んでくる。
焼き鳥屋から出る竹串が袋を突き破り、軍手ごと手に突き刺さったときの痛みは忘れられない。
観客ゼロのライブで、いきなりステージダイブさせられたような気分だった。
ゴミは生活のプレイリスト
家庭ごみには、その家の生活が全部現れる。
- 女性物の下着 → 若気の至りを思い出して妙に興奮
- 大人のオモチャ → いや、こんなリアルは望んでない
- お位牌 → 一瞬息を呑むホラー演出
- ペットの死骸 → 笑えない怒りと悲しみ
「ゴミは生き方そのもの」だと気づかされる瞬間でもある。
パン屋の廃棄はモーニングセット
唯一の救いはパン屋からの廃棄。
クロワッサンやメロンパンを拾って休憩中に食べると、ゴミの中にほんの一瞬の幸せが生まれる。
それはまるでアコースティックの小休止セッションだった。
匂いでノックダウン
飲食店から出る“排水口に溜まった油の固まり”。いわゆる【汚泥】というヤツだ。
これはもう、匂いだけで気絶寸前。袋が破れないように慎重に積み込む。
鼻にまとわりつき、脳まで侵食してくるレベルで、デスメタルの轟音より凶悪だった。
ゴミ処理場のお姉さん
市営処理場の受付のお姉さんだけが、地獄の仕事の中でのオアシスだった。
勇気を出して「今度ご飯でもどうですか?」と誘ったけれど、返事はあっさり「すみません…」。
アンコールを求めたのに、マイクがオフになっていた瞬間みたいだった。
火を吹くパッカー車
恐ろしいのは、分別されていないライターやガスボンベ。
実際、先輩のパッカー車はそれが原因で火を噴いた。
慌てて車道に全てのゴミをぶちまけて消火した現場は、まるで「パンクライブの炎上事件」そのものだった。
引っ越しゴミはボリューム超過
「これは無理!」というのが、引っ越し時のゴミ。
ソファや棚が山積みになっていて、パッカー車に積み込むなんて不可能。
写真を撮って事務所に報告し、別便の大型トラックを呼ぶのがルールだった。
🎧 今日の一枚
The Damned – 『Damned Damned Damned』 (1977)
混沌、スピード、破壊力。ゴミ収集車のトラブルだらけの日々には、セックス・ピストルズではなく、ダムドの疾走感がしっくりくる。
「Neat Neat Neat」のイントロは、雨に濡れた路地を全力で駆け抜ける俺たちのテーマソングだ。

エンディング
ゴミ収集車の仕事は、毎日がトラブルと隣り合わせ。
それでも街を清潔に保つため、汗まみれで走り続ける。
アンコールもスポットライトもないけれど、そこには確かにロックな生き様がある。
👉 次回は「ゴミ収集車編 Part 3:裏ボーナスとささやかな喜び」へ続く。
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